[5] 「どんとこい銀行」岩井義照著、サンマーク出版を読んで銀行の貸し渋りに負けるな。週刊新潮でも紹介。
投稿者:川田栄男 投稿日:2002/08/09(Fri) 23:49
 
 著者の岩井氏は、商工中金出身の元銀行マンであり、その後は都内の商工業協同組合の経営指導など担当したり、株式会社第一経理経営相談室長をされていた方である。株式会社第一経理は、革新系の税理士事務所で超有名である。そういう意味では色がついているということになるかもしれない。でも中小零細企業を守るいわば「赤ひげ先生」といったところだろうか。
 かくいう私も東京の革新系の税理士団体に所属していたことがある。そこの関係で先生の講演を初めて聴いて、先生の話のうまさに感激し、又銀行の横暴に義憤を感じた。
 顧問先の経営見ていて、本当に銀行のやり口はひどい。貸し渋りどころか、貸し剥がし(返済してくれれば、また貸しますからとか、うまいこといいながら、いざとなったら新規貸出せず、回収のみというやり口)が横行している。
 「ゴミ投資家のための人生設計入門」(メデイアワークス)によれば、2つのローンがあり、ひとつはノン・リコース・ローン非遡及型融資であり、これが欧米等の世界標準。もうひとつは、世界に類をみない日本の住宅ローンのようなウイズ・リコース・ローン、つまり遡及型融資だというんだ。
 遡及型とは「たとえ債務者が担保を提供しても、その担保価値が融資額に足りない場合、債権者はその差額を債務者に請求できる」。これだから、増し担保や、追加保証人要求されたりで自己破産が増えるわけだ。
 カネを貸すのが銀行のビジネスなのだから、取れないときのこと考えて担保の7掛けぐらしか貸しゃしない。それでとりっぱぐれたら、それは銀行のビジネスの失敗で銀行が損切りすればいいことじゃない。どうころんでも、銀行は損しないなんてこんな殿様商売ありゃしない。ふざけた話だぜ。
 ついでに言えば、だから担保も保証人もない技術力だけがたよりのベンチャー企業に銀行は融資しやしない。リスクテークができない。貸し出し審査能力がない。いっちゃ悪いが、武富士やプロミスの消費者金融のほうが、よっぽど人見て貸す審査能力があるよ。消費者金融の取りたてのあくどさわかるだけに、あまり肩持ちたくないが、人見て貸し出す審査能力のノウハウについては、一目おきたい。
 話し元に戻すが、「欧米では常識になっているノン・リコース・ローンの場合、担保物件の時価がどれだけ下がっていようとも、担保を金融機関に提供した時点で、債権・債務関係は解消します」つまりいざとなったら担保手放せばチャラ。こうじゃなくちゃいけねーよ。日本の銀行はやることがきたーねヨ。さもなくば、ゼロからやりなおしがきかないヨ。敗者復活戦認めろヨ。
 「日本の民法は『欠陥民法』」らしい。(「マネーと日本の進路」弁護士・牧瀬義博氏著 信山社出版)明治時代の日本の法学者が欧米の近代民法の債務と債権をとっちがえたことが原因らしい。
 欧米の近代民法は債務本位に構成された「債務法」なのに、日本
の民法だけが「債権法」になっているんだそうな。
 債権と債務は裏返しだから、どっちから規定したって同じようなものだと思ったら大間違いなんよ。債権と債務は同じものではない。正に裏・表でとっちがえたらヒデーことだ。
 それはとも角、非遡及型融資の観点に立てば、債務者つまり企業と債権者銀行は対等ということである。担保渡せばチャラでいいんだ。増し担保よこせ、保証人になれなどふざけんじゃない。
断固拒否すべしだ。ここまで、腹くくれば恐いものはないが、そこまでいく段階で、約定返済がどうしても苦しくなったら、銀行
に理由を説明し、経営改善計画を示して、当分元金棚上げで金利だけにしてもらおう。これが「借入条件変更」というやつだ。
 銀行が認めないといったら、実力行使で、こっちも銀行に金利しか払わないようにしたらイイ。銀行は本店に相談しないとできないとか(条件変更は支店長権限でできるので⇒ウソ)、保証協会の保証付だからできないとか、いろいろ言うがだまされるな。
 そもそも保証協会の保証付で銀行が窓口の融資は、銀行にとってノーリスクである。銀行が取りぱっぐれたら、保証協会が債権代位して銀行に払ってくれるのである。むしろ困るのは保証協会のほうである。保証協会と銀行は利害が矛盾するところがある。
 このスキをついて、銀行の頭ごなしに保証協会と直に話つけるわけである。「うちがつぶれたら、保証協会サンの方が困るんでないの」とやんわり、おどかすんだ。「銀行は元金棚上げ認めないと言うんですけど、オタクのほうから言ってくれませんかネ」といった調子だ。いやーこの「どんとこい銀行」読むと銀行の理不尽さに腹が立ち、「負けてなるもんか」という銀行に立ち向かう勇気が涌いてくるヨ。ご一読オススメです。

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