[4] 「ライオンは眠れない」サミエル・ライダ‐著  実業之日本社
投稿者:川田栄男 投稿日:2002/05/19(Sun) 13:12
 
 今マスコミで話題の本です。トヨタの奥田会長が、しきりと財界人に、これはリアリテイがあるとかいって一読すすめているとかの新聞記事が出ていた。イギリス人の日本ウオチャー氏が、中国の寓話のスタイルで、日本の小泉構造改革の行方をオモシロ・オカシク書いている。
 むろん主役のライオンは小泉首相、ジャジャネコ大臣はご存知田中真紀子、そして首都を治めるタカ長官はいわずと知れた石原慎太郎という具合だ。それはそれでおもしろいんだが、問題はそなことでではない。読んでビックリした。最後の「デノミ・預金封鎖」の悪夢がまさかとは思うが、ありえないことではないと認識させられた。コイズミならやりかねないし、「聖域なき構造」「痛みに耐えて頑張ってほしい」とかはすべて、この最後のがらがらポンのことを言ったいたのか?そうだとしたら大変なことだ。
 国債、地方債と隠れ借金合わせると、ゆうに1000兆円超えて、GDPの500兆円の倍である。企業でいえば「国家破産」状態である、日本国債の挌付けも引き下げられている。しかし、がらがらポンのデノミに絡めた預金封鎖の荒治療はいくらなんでもないだろう、なしくずしのインフレだろうとタカをくくっていた。「国家破産」の著者の浅井 隆氏でもそこまでは考えてないよ
うに思った。日本は対外的には世界最大の再建国であり、アメリカ国債も3000億ドルぐらい買っているし。国家破産しても、アルゼンチンと違い、所詮日本国内でかたがつく、しわよせは、いつも一般庶民。オカネ持ちは国債なんて買わないし、早くから
預金を海外に逃避させている。日本発世界恐慌・荒治療はできない、国家債務は調整インフレでなしくずしというのが大方のシナリオだったように思う。
 しかし、著者のイギリス人いわく「この国では、百年に一度あるかないかの凄まじい大変動が起きようとしています」「いまはもう日本に夢中、何しろ壮大な歴史的実験を目の前で見ることができるのですから」と。1外国人のたわごととは思えない。奥田会長もリアリテイがあると評価しているとなると、ム、ム、ム、もしかしたらと感じざるを得ない。
 それで思いだしたのは、本年1月1日、ついいにユーロー紙幣が発行され、兌換しなければ、統合前の各国通貨は使えなくなってしまうわけである。兌換猶予期間はむろんあるが半年かそこらでなかったか? あまり長ければ闇のアンダーグランドマネーは
国外へ「資産疎開」しまうだろう。たいした混乱もなくユーローへの兌換が行われたということは、不正蓄財と見られるようなアングラマネーはとうにスイス銀行の匿名口座にでも移動していたということなのかな。
 日本で預金封鎖が行われた場合の凄まじさが少しわっかってきたでしょう。暴力団や風俗等のアングラマネーが一毛打尽にされてしまう。これ自体は悪いことではない。脱税するほど所得もない庶民にとっては、カネモチ〓脱税者から、預金封鎖で新円切り替えのときに、一毛打尽するのはむしろ小気味いいことでしょう。自分たちの預金も少しは切り捨てられても、拍手喝さいするかもしれない。大カネモチの不正蓄財分を一毛打尽にして、2割ぐらいの財産税かければ、日本の国家債務は帳消しになるといったようなことが、この本の最後に書かれています。
 預金封鎖すれば、一時的に大混乱しますが、一時的に「痛み」に
耐えてほしい、あらたな経済再生・創造のための破壊だという、ライオンノメッセージはうけいれられるかもしれない。
 遅まきながらネットで「預金封鎖」で検索してみたら、週刊東洋経済の2002年3・13号で「預金封鎖旋律のシナリオ」と出ているでないか。イーグルヒットというところから「預金封鎖」という本も出ているのである。
 クラブオブ・アイルス等の世界支配グループの1組織でないかと言われているダボス会議でも日本はバンク・ホリデー(つまり預金封鎖)をやらんのかと追求されているらしい。いや、こんなに「預金封鎖」が現実実帯びていたとは、勉強不足であった。
 2002・5・19  川田栄男

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