[9] 10/13 NHKスペシャル「自動車大国への道、小さな部品から巨大産業を築く,中国独自の国家戦略」を見て・・・川田栄男
投稿者:川田栄男 投稿日:2002/10/14(Mon) 01:25
 
 テレビ番組の紹介記事(日経)によれば「13憶の人口抱える中国は,テレビ,冷蔵庫などの家電やオートバイで世界トップシェア―を握っている。そして今、中国が世界のトップに追いつこうとしている分野が自動車だ。一流メーカーへと変貌しようとする中国の自動車産業の実像を描く」とある。
 本当にテレビ・冷蔵庫・オートバイは世界トップシェアーか?
週刊ダイヤモンド10・5号のDATA FOCUS「中国は本当に『世界の工場』なのか」日本総合研究所 主席研究員・客員研究員 呉軍華氏によれば、要点は次のとうりである。

1、2000年時点での世界製造業に占める中国の比率はなお5%台である。
2、中国で行われているのは、付加価値の低い労働集約型の製品で、ローエンドの工程である。
3、中国では、独自のブランド製品や技術開発力が欠如している。
4、中国の労働者全体に占める技術労働者の比率は50%しかなく、そのうちいわゆる高級技術労働者はわずか5%である。
5、結論 世界の工場として台頭してくる可能性はあるが、実態からして、道程はなお遠いといわざるを得ない。
 
そして主な中国製品で50%以上のシェアー持つているのを列挙すると次のとうりである。出所は長城企業戦略研究所「2002年中国科技発展報告」、「経済日報」2002年8月15日とある。

人造ダイヤモンド 60%以上、希土類材料(酸化物)70%以上、ミシン 50%、トラクター 83%、コンテナー83%、
ゴム靴 50%以上、シルク 70%以上、扇風機 50%以上、
テープレコーダー 70%、VCD 70%,電話器 50%以上,時計・腕時計 75%、ビタミンC 50%以上、ペニシリン
60%、テラマイシン 65%以上、鉛筆 55%以上、金属ライター 80%以上 

 日経の紹介記事でいっているカラーテレビは、因みに29%、
冷蔵庫は16%、オートバイは44%である。世界トップシェア―というには、誇張しているかもしれない。オートバイはホンダの海賊品が出まわり、取締り強化したとかの新聞記事読んだことがある。
 確かに、呉研究員が言うとうりかもしれないが、テレビの番組
見るかぎりでは、モノ作りの裾野がひろい、7万点の部品がひつような自動車産業への国産化めざす中国の取り組みはスゴかった。日本含め外資の力借りて、外資の進出認める条件として、中国で生産する自動車は、部品の40%以上を中国製を使うことを
条件としている。
 中国の自動車部品下請け産業は、日本含め外資の技術を吸収して、ものスゴイ速度でキャッチアップしている。この間も日経の記事で、トヨタの看板方式を中国の技術者に指導している記事を読んだ。外資は、中国を世界の工場として育てて、13憶のマーケットに期待している。「豚は太らせて食え」という深慮遠謀か?
 中国からすれば、外資を利用して高度成長遂げたいのが本音だろう。形は日本の自動車でも、中身の部品はかなりの部分が中国製という日も遠くないようである。中国では車は年収の三倍ぐらいの値段らしい。でも一部の金持ちしか買えない代物ではなくなってきている。車を先に買い、問題はナンバープレートが、入札で、30万ぐらいしており、なかなか買えない様子をテレビでやっていた。
 経済の成長の源はイノベーション(技術革新)である。日本は、より付加価値の高い製品開発分野にシフトしていかねばならない。経済が成熟した国の宿命である。日経10・13世界の新刊で「イノベーションを生む自由市場」アメリカ プリンストン大學
バウモル教授の著作の紹介記事にあるように、「イノベーションを根付かせるには私的財産保護の制度基盤が要る」とあるが、これが今後の中国の課題になるのでないだろうか。さらに「市場経済はイノベーションの力を競う場であり、それを怠れば競争に負けるからである」と。これは、日本も心しなければならない。日本は市場経済とは名ばかりで、閉鎖的な規制でがんじがらめの、まるで社会主義経済みたいだ。
 果たして、中国は政治は共産主義、経済は市場経済(資本主義)とうまく、いつまで使いわけできるのだろうか?
幸い、大前研一氏の「チャイナ・インパクト」によれば、今の中国はアメリカの独立した州のように、メガリージョンが経済的に独立している。むしろリスクは分散されているというのだ。おもしろい見方である。

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